気付き、受け継ぎ、還元する。
事業企画素案

AI時代の人間中心ビジネス(テスト)

2026-07-28 | 宮崎雅之氏(橋本屋 経営アドバイザー/起点カード「AI業界」)・東原正典氏(代表取締役/カード「無形商材の営業」)・横山耕平氏(ゼネラルマネージャー・別会社/カード「EMS業界」)・嘉数千夏氏(営業推進部リーダー/カード「レストラン業界」)・東原弘典氏(取締役・別会社/カード「秘匿されるフードロス」=反転使用)・松原輝和氏(指南役/SHINE PIECE)
指南役: SHINE PIECE / 松原 輝和

3案の全体像

  1. 案1劇団化する店舗|非効率を「公演」として値付けする
  2. 案2開示するロス|捨てた量を、信用に換える
  3. 案3幽霊発注アラート|業界横断の需給インテリジェンスと「例外」の監査

裏テーマ:AIが最適化を完了させた領域では、「測られていなかったもの」だけが次の価値になる。

案1

劇団化する店舗|非効率を「公演」として値付けする

常識を覆す仮説

飲食店の人件費は削るべきコストではなく、売るべき演目である。AIによる店舗運営の最適化が業界標準になった瞬間、「人が対応すること」は効率の敗北ではなく希少な体験供給に転じる。ゆえに人件費は原価表から外し、公演原価として別建てで管理し、チケットとして値付けすべきである。なぜなら、標準化が全店に行き渡った市場では、差別化の源泉が「非標準を維持し続けるコスト」にしか残らないからだ。

キャッチフレーズ

  • 共感型「それ、私のことだ」: 効率化するほど、うちの店から「らしさ」が消えていく。
  • 未来型「こうなったらいいな」: 人が出てくる時間に、堂々と値札をつけられる。
  • 行動型「今すぐやってみよう」: まず1店舗・週1回、90分だけ「公演」を売ってみる。
案1・物語

負の物語

配膳ロボットのモーター音だけが、金曜19時のフロアに規則正しく響く。呼び出しベルは鳴らない。タブレットの注文確定音が席ごとにずれて重なり、誰も顔を上げない。カウンター越しの湯気は換気に吸われ、揚げ油の匂いは客席まで届かない。会計は無音で終わり、店員と客は一度も目を合わせなかった。

肯定の物語

19時ちょうど、厨房の照明が一段落ちる。板前が包丁の背で俎板を二度叩き、店内がふっと静まる。炙りの炎が上がると、脂の匂いが客席の最後列まで届き、後ろの席の子どもが背伸びをする。皿が置かれる瞬間の「はい、お待たせ」だけが肉声で、客は箸を持つ前に拍手をしてしまう。

企画概要

飲食店の人的接客を「公演」として切り出し、時間帯・席種・演目単位で値付けする仕組みを設計する。予約システムに「公演枠」を実装し、板前の所作・仕込みの実演・生産者の紹介を演目化。省人化ゾーンと共存させ、同一店舗内で価格帯を二層化する。なぜ今か——省力化投資が業界全体に行き渡り差別化余地が消える前に、「人が出る時間」を先に商品として定義した店が、価格決定権を握るから。

案1・検証

3C分析

価値(3者視点):

  • Customer: 40代後半、共働き。月2回の外食を「家族の記念」として使いたいが、配膳ロボットの店で子どもが誰とも話さず食べ終えたことに、言語化できない寂しさを覚えている。安さより「今日は特別だった」と言える理由を買いたいが、コース料金の高さを正当化する説明を店から受け取れていない。
  • Competitor: 【直接】高価格帯の対面カウンター業態、シェフズテーブル、料理教室併設型レストラン。【間接】体験型商業施設、地域の食のイベント、そして最大の間接競合は「配達アプリ+自宅」——外出しない選択そのもの。
  • Company: 事業主体は嘉数千夏氏(営業推進部リーダー・レストラン業界)と東原弘典氏(店舗内システム設計の実務者)。嘉数氏が現場の顧客接点と営業推進の実行力を、東原弘典氏が店舗設計の自由度を確保するシステム知見を持ち込む。SHINE PIECEは伴走者として、①公演枠の価格設計とPMI的な業績管理(人件費を公演原価へ組み替える会計設計)、②富裕層人脈を通じた高単価枠の初期送客、を担う。
  • 消費者: 外食に「今日は特別だった」と説明できる理由が戻る。
  • 協業先(パートナー): 予約システムベンダーは公演枠という新SKUを、生産者は登場機会という新販路を得る。
  • 社会: 接客職が「削減対象の人件費」から「代替不能な出演者」へ再定義され、飲食業の離職構造に反転の余地が生まれる。

定量データ

データ①: 転職入職者のうち賃金が1割以上増加した割合は25.8%(2017年)——人材が「条件」で流動する市場であることの裏付け(stat-fetcher取得・厚生労働省 雇用動向調査 statsDataId: 0003377361)
データ②: 入職率16.0%(2017年)——年間で在籍者の約6分の1が入れ替わる労働集約構造(stat-fetcher取得・厚生労働省 雇用動向調査 statsDataId: 0003377220)
データ③: 外食における「人的接客あり業態」「省人化業態」の客単価差——(仮置き/検証先: 日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査、および各社IR)

案2

開示するロス|捨てた量を、信用に換える

常識を覆す仮説

フードロスは削減すべきコストではなく、開示すべき信用情報である。ロス量は経営の意思決定の質——発注精度、需要理解、仕入先との関係——がそのまま数字として現れる指標であり、隠すほど「意思決定を見せられない会社」という評価に転化する。ゆえに開示は自社の弱点公開ではなく、経営品質の証明になる。なぜなら、AIが企業情報を横断して答える時代には、開示していない項目こそが「答えられない企業」として不利に処理されるからだ。

キャッチフレーズ

  • 共感型「それ、私のことだ」: 廃棄の数字は、社内でも見たくない資料の一番下にある。
  • 未来型「こうなったらいいな」: 「うちは、こう減らしています」と胸を張って言える。
  • 行動型「今すぐやってみよう」: 今月の廃棄量を、まず1品目だけ公開してみる。
案2・物語

負の物語

閉店後22時40分、バックヤードの蛍光灯の下で、まだ温かいトレーが青いポリ袋に傾けられる。ソースの甘い匂いと洗剤の匂いが混じる。袋の口を縛る手にビニールが張りつく。アルバイトが重さを量ることはなく、翌朝の日報の「廃棄」欄は空白のまま提出される。誰も嘘はついていない。

肯定の物語

朝礼のモニターに、前日の廃棄量が品目別のグラフで映る。数字が下がった品目に小さな拍手が起きる。店長が「豚肉、仕込み30分早めたのが効いた」と言うと、キッチンの若手が照れて笑う。店頭のボードには手書きで今月の実績が貼られ、常連客が立ち止まって「先月より減ってるね」と指をさす。

企画概要

飲食・食品企業のフードロス量を、店舗単位・品目単位で計測し、あえて外部公開する開示フォーマットと運用支援を提供する。POS・発注データから廃棄を自動集計し、月次で顧客向けに開示。減少実績を店頭・Web・生成AIが読み取れる構造化データの3経路で発信する。なぜ今か——消費者が企業を生成AI経由で調べ始めた今、「開示していない項目」が沈黙ではなく不利として処理され始めるから。

案2・検証

3C分析

価値(3者視点):

  • Customer: 【一次顧客】年商30〜200億円の中堅飲食・食品企業の経営企画部長。SDGs対応を求められているが、開示できる自社固有の数字がなく、他社と同じ抽象的な宣言文しか出せないことに苛立っている。【二次顧客】30代の子育て世帯の消費者。価格でも味でもなく「この会社は何をしているか」で選びたいが、判断材料がない。
  • Competitor: 【直接】食品ロス削減アプリ(余剰在庫のマッチング)、廃棄計量ソリューションベンダー、ESG開示コンサルティング。【間接】沈黙という選択そのもの——開示しなくても罰されない現状。および、ロス削減より値上げで利益を確保する経営判断。
  • Company: 事業主体は東原弘典氏(取締役・別会社)。前職での飲食チェーン向け店舗内システム設計と、フードロス・フィー経営への深い関心が直接のアセットとなる。東原正典氏は「無駄で潤っている会社」という上流構造への視点で、サプライチェーン側の抵抗を事前に織り込む役割。SHINE PIECEは伴走者として、①一次産業〜製造流通の現場知(松原氏の木材産業役員10年)を活かした上流側の説得ロジック設計、②地域金融機関・自治体との接続による開示企業の信用評価への反映、を担う。
  • 消費者: 「なんとなく良さそう」ではなく、数字で企業を選べるようになる。
  • 協業先(パートナー): 生産者は自社の食材が最後まで使われた証跡を得る。POS/発注システムベンダーは既存データの新たな出口を得る。
  • 社会: 開示が競争条件になれば、削減インセンティブが自社原価の外側(評判・調達条件)にも生まれ、業界全体のロス総量が下がる。

定量データ

データ①: 日本の食品ロス発生量は年間523万トン(事業系279万トン・家庭系244万トン、令和3年度)——(仮置き/検証先: 農林水産省 食品ロス量推計。Gemini検証はグラウンディング出典0件のため未確定)
データ②: 農林水産省の食品ロス量推計ページ(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html)——stat-fetcherがURL直接ソースとして取得。最新年度の数値は当該ページで要再取得
データ③: 食品関連上場企業のうち廃棄量を有価証券報告書またはサステナビリティ報告で定量開示している社数比率——(仮置き/検証先: 各社統合報告書、環境省 食品リサイクル法定期報告)

案3

幽霊発注アラート|業界横断の需給インテリジェンスと「例外」の監査

常識を覆す仮説

供給不足は実需の増加ではなく、恐怖が生んだ二重発注の累積である。品薄局面では各社が確保のために実需を超える数量を発注し、その記録だけが生産地に伝わって過剰生産を引き起こし、需要が落ち着いた頃に在庫となって港を埋める。ゆえに解くべきは「増産」ではなく「発注記録から仮需を分離する」ことである。なぜなら、市場は需要そのものではなく、需要の記録を見て動いているからだ。

キャッチフレーズ

  • 共感型「それ、私のことだ」: あの時、なぜ全社が同時に発注を増やしたのか、誰も説明できない。
  • 未来型「こうなったらいいな」: 「これは仮需だ」と、注文が入った日に分かる。
  • 行動型「今すぐやってみよう」: 自社の過去3年の発注と実出荷のズレを、今週洗い出す。
案3・物語

負の物語

倉庫の扉を開けると、湿った木の匂いが顔にぶつかる。天井近くまで積まれたベニヤ板の山が、フォークリフトのバックブザーに合わせて軋む。半年前は一枚も入ってこなかった同じ品番が、今は動かない。帳簿の上では正常な発注履歴が並んでいるだけで、どこにも間違いは記録されていない。

肯定の物語

朝、担当者の画面に一行だけ通知が出る。「この品番、業界全体の発注が実出荷の2.4倍です」。数字の横に、過去に同じ形をした3つの局面が並ぶ。担当者はコーヒーを置き、上長に短く報告する。その週、発注は据え置かれた。三か月後、港の写真がニュースに流れたとき、自社の倉庫は静かなままだった。

企画概要

複数社の発注データと実出荷データを匿名で持ち寄り、品番単位で「発注/実需の乖離」を業界横断で算出し、仮需アラートとして各社に返す共同インテリジェンス基盤。加えて、AIが出した最適解から漏れた例外——切られた少数取引先、見落とされた地域——を必ず一覧で提示する例外監査レイヤーを標準搭載する。なぜ今か——AIデータセンター投資で半導体・EMSに同じ増幅が起きつつあり、次の在庫滞留が起きる前でなければ検証データが取れないから。

案3・検証

3C分析

価値(3者視点):

  • Customer: EMSまたは資材商社の調達責任者。40代、品薄局面で確保に走った判断が翌年の在庫評価損として跳ね返り、社内で説明を求められた経験がある。「あの時の判断は正しかったのか」を検証する材料を今も持っていない。次の局面で同じ判断を迫られることを恐れている。
  • Competitor: 【直接】需要予測SaaS(単一企業内のデータで完結するため業界横断の仮需は原理的に見えない)、業界団体の統計(粒度が粗く、遅い)。【間接】商社の情報力と経験則、および「みんなが増やしているから増やす」という横並び行動そのもの。
  • Company: 事業主体は横山耕平氏(ゼネラルマネージャー・別会社/EMS業界)が中核。EMS・半導体サプライチェーンの当事者としてデータ提供企業の初期連合を組成できる立場にある。SHINE PIECEは伴走者として、①松原氏がウッドショック時の輸入実務で得た「仮需がどう記録に化けるか」の一次知見をアルゴリズム設計要件に翻訳、②M&A/PMI関係先および建設設備・木材業界のネットワークを使って業界をまたいだ検証データを確保(同じ現象が複数業界で起きることを示せれば参加インセンティブが跳ね上がる)、③データ共有に伴う競争法・秘密保持の枠組み設計を外部専門家と組成する。
  • 消費者: 品薄と価格高騰の振れ幅が縮小し、最終価格が安定する。
  • 協業先(パートナー): 生産工場は仮需に基づく設備投資と過剰雇用を回避できる。金融機関は在庫評価損リスクを早期に把握できる。
  • 社会: 過剰生産の抑制は資源とエネルギーの浪費を直接減らす。例外監査レイヤーは、最適化から漏れる中小取引先や地方拠点が「見落とされたまま消える」ことを防ぐ。

定量データ

データ①: EMS業界の市場規模6382億ドル(話者発言より採用・横山耕平氏 05:13頃/Gemini検証は「2023年の世界EMS市場規模と一致」と回答したがグラウンディング出典0件のため要再確認
データ②: 転職入職者の産業間移動構成比(2008〜2017年)——サプライチェーン各段の人材流動性の基礎データ(stat-fetcher取得・厚生労働省 雇用動向調査 statsDataId: 0003377360)
データ③: 品薄局面における業界別の発注量と実出荷量の乖離率——(仮置き/検証先: 経済産業省 生産動態統計調査、財務省 貿易統計)

採点と推奨

  • 案1劇団化する店舗
  • 案2開示するロス
  • 案3幽霊発注アラート
最有力推奨案
案2「開示するロス|捨てた量を、信用に換える」**
次の1アクション:東原弘典氏が前職ネットワークからパイロット1社を選定し、直近3か月分の店舗別・品目別の廃棄実績データが実際に抽出可能かを確認する(抽出できなければ企画の前提が崩れるため、これを最初のゲートに置く)。
DELTA SENSE